書誌情報
タイトル | 魔女に首輪は付けられない |
出版社/レーベル | KADOKAWA/電撃文庫 |
著者 | 夢見夕利 |
イラスト | 緜 |
ISBN | 9784049155259 |
紹介
作品概要
魔術が日常にあふれた世界では、魔術を悪用した『魔術犯罪』というものが横行していました。
そんな魔術犯罪を取り締まる捜査官の一人である主人公、『血塗れのローグ』ことローグ・マカベスタは、ある日『第六分署』という聞いたこともない部署に転属となります。
そこは、かつて国に厄災をもたらした強大な力を持つ存在『魔女』とともに、魔術犯罪を解決に導く、秘密裏に設立された部署でした。
首輪で本来の魔力を抑制された個性あふれる自由人な魔女たちに翻弄されながらも、ローグは彼女たちの力を借り、とある難解な魔術犯罪の解決を目指していく――――といったお話です。
キャラクターは魅力的。だが、惜しいところも――――
本作は、第30回電撃小説大賞『大賞』受賞作でして、ファンタジーとバディものをかけ合わせた作品となっております。
まず、魔術が発展したからこそ起こりえた、魔術を悪用した犯罪が横行しているという世界観がとても目新しく、興味深いです。
それは、便利な魔術なんかがあったら、それを悪用しようとする人もいるだろうと当然といえば当然だとは思いますが、そこを実際に作品に落とし込もうと思った着眼点が面白いと思いました。
また本作、主人公や魔女たちの個性が非常に際立っておりまして、名前を言われればどんなキャラクターかを思い出せるほど、非常にキャラが立っており素晴らしいと思いました。
ちょっと口の悪いローグくんと個性豊かな魔女たちが協力するアクションシーンは読みごたえもあり、とても面白かったです。
――――ですが、少し惜しいと感じた点もあります。
せっかくキャラクターの個性や魅力があるのにもかかわらず、そもそもの『魔女』というものが人々からどれほど恐れられていて、どういう存在なのかという部分の掘り下げ等があまりに少なく、ストーリーとしてぽっと出で魔女が出てきたように私個人としては感じられ、話の展開が少し唐突すぎないかと感じる場面が多々ありました。
また、ローグくんの魔女に対しての初期の当たりはかなりと言っていいほど強く、それこそ『拒絶』に近い状態だったんですが、そこから魔女からとあるきっかけで認められるようになり、普通に魔女と会話し、心を通わせるようになるようになるまでの過程の描写が少ないがために、こちらもすべてにおいて唐突な展開に感じる印象が強かったです。
2巻以降で徐々に各魔女ごとの過去を開示していくのだとは思いますが、掴みの1巻としては少し物足りない印象を受ける作品と感じました。
2巻以降の継続購入に興味を持ってもらうためにも、大賞受賞作というブーストのある初速が大事な1巻では、もう少し読者に衝撃を与えるような展開や、舞台設定の詳細な開示・魔女一人(※今回でいえばミゼリア)の過去の行いに詳細までフォーカスした展開もあってよかったんじゃないかと思います。
絶対に今後面白くなる作品だと私自身もわかっているだけに、そこが正直勿体ないと感じました。
個人的作品評価
【個人的作品評価】
【ストーリー】 | ★★★☆☆(3/5) |
【キャラクター】 | ★★★★★(5/5) |
【独創性】 | ★★★★☆(4/5) |
【読みやすさ】 | ★★★★☆(4/5) |
【総合評価】
★★★★☆(4/5) |
まとめ
総評として、全体的に完成度の高いファンタジー作品だと感じました。
1巻としては少々不完全と思う部分が多数見受けられるものの、2巻以降次第で如何様にでも化けるポテンシャルがあると思います。
私個人としては、もっと他の魔女との関わりも見てみたいと思った作品ですので、次巻の展開も非常に楽しみにしています。
(この記事を書いてる時点で2巻が発売されているようなので、時間を見つけて読んでいきたいと思います)
個人的には、聖女『カトリーヌ』がキャラとしても、ストーリーへの関わりとしても好きでした。
2巻以降ありきで完成される作品かと思いますので、今後の展開が非常に楽しみです。
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