書誌情報
タイトル | 横溝碧の倫理なき遊戯の壊し方 |
出版社/レーベル | KADOKAWA/MF文庫J |
著者 | 枢木 縁 |
イラスト | こゆびた べる |
ISBN | 9784046840073 |
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紹介
デスゲームをデスゲームさせない、SNS上で探偵をする少年の物語
主人公の横溝碧(よこみぞあお)は、かつて名探偵と呼ばれた曾祖父のひ孫にあたり、SNS上で事件を推理して投稿するインフルエンサー、『探偵』クラスタを生業としている、かなり性格的にひねくれた少年です。
そんな彼が、生活費がなくなったことをきっかけに友人からの紹介を受けて参加したのが、大企業が主催する賞金付きの脱出ゲームになるのですが、それは表の顔で、実際は裏社会で行われていた命を懸けた賞金レース―――『デスゲーム』なのでした。
人の命を弄ぶ運営に憤りを覚えた碧は、デスゲームの司会を務める少女・姫野心音(ひめのここね)※表紙の子 を人質に取りながら、様々な手を使ってデスゲームを妨害・破壊していくのが本作のストーリーです。
いい意味で、表紙から受けるイメージとギャップを感じた作品
MF文庫Jといえば、個人的に最近は頭脳戦系の作品が強いレーベルイメージですが、特に最近のレーベルのトレンドとして『探偵』『デスゲーム』というジャンルは欠かせないと思います!
例)『探偵はもう、死んでいる。』、『死亡遊戯で飯を食う。』など
※本作の推奨コメントは、上記作品を執筆されている両先生から出てたりします!!
そんな現在の2大巨塔ジャンルをかけ合わせたらどうなるのか―――といった作品が、本作になりますが、本作、実は、推理小説でも、デスゲーム小説でもありません。
『探偵』といえば、事件があってそれを推理して解決に導く、いわゆる王道の探偵(某・見た目は子供、頭脳は大人の探偵とか。。。)のイメージが強いかと思いますが、本作でいう『探偵』というのは、謎の推理・解明を主軸としたミステリー作品的な立ち位置ではなく、いわゆる探偵グッズ的な道具を用いて、バトルや頭脳戦を仕掛けていくという、探偵(?)な作品であることは予めお伝えさせてください。
※謎解き要素は正直ないに等しいので、ミステリー要素を期待していると思っていたのと違う作品じゃん! となりかねないのでご注意ください。。。
ストーリーの雰囲気としては、『デスゲーム』というかなり重くなりがちな題材を傍らに持つ割には、主要キャラクターは可愛い少女系のヒロインが多く、ヒロインや妹キャラなどとのコミカルな掛け合いもあり、かなりとっつきやすい印象の作品に仕上がっていると思います。
ですが、だからといって話が完全にコミカルに振り切っているかと言われれば、実はそうではなくでして、本作、終盤に行くにつれて、かなり話が不穏になってくるんですよね。。。
例えるなら、あっさり系醤油ラーメンを美味しい美味しいと楽しくすすっていたら、途中から濃厚背油トッピングを横入れされて、『あぁ……』と思わず呆然としてしまうような感じです。
※現に、私がそうなりました。
本作、ストーリ展開の緩急のつけ方が思っていたより何倍も強くて、突然急に話の展開がえげつなくなるというか、可愛いキャラが活躍する物語なのに、実際はかなり容赦ない展開が起きたりするんですよね。。。
(平気で人、〇したりしますし。。。)
コメディ作品だと思っていた読者に突然トラウマを読者に植え付けてくるような、かなり表紙やあらすじとはギャップがある作品だと思いましたが、それが本作を語る上でのいい持ち味というか武器に昇華されているとも思いましたし、相対的にはとても面白い作品に仕上がっているなと感じました。
続きが出たらさらに面白みが増してくるような、そんな作品だと思います。
こういう方にオススメしたい!
・頭脳戦バトルものジャンルが好きな方
・少女系のヒロインが好きな方
・ストーリー展開に緩急のついた作品が読みたい方&コメディ要素だけでは物足りないと思う方
探偵×デスゲームという類を見ないジャンルに惹かれて購入した作品でしたが、予想外の展開もあり、かなり面白い作品に仕上がっていると思いました!
次巻以降の展開も楽しみです!
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